先日あるお寺の前を通りかかったところ掲示板に〖念ずれば花開く〗と大書されていました。たしかにそれは本当だと私は思いました。ともかく念ずることからすべてが始まります。願わないことが成就する筈はありません。願うことが第一歩です。しかし願ったからといってそれが必ずしも実現するとは限らないところが難しいのです。むしろすべては思いどおりには行かないと思ったほうが良いのです。だから願っても仕方ないのでしょうか?さにあらず。願い続ければ姿を変え、様相も変化しつつ最初は思っても見なかったような形でそれは実現します。実は人生もそうなのですが、偶然の積み重なりが本人の願望によって連鎖をつくりだし最終的に一つの形になってゆきます。紆余曲折の末、思っても見なかった新しい結末が生まれます。だから人生は楽しいのです。紆余曲折の過程のなかで先が読めないため、ともすれば諦めたり投げ出したくなったりします。しかし結末は必ずやってきます。良かれ悪しかれ、その結末は自分の価値観、心情や意志が反映されたものになります。実は生命の発生や進化の仕組みも、基本的には同じだと思います。ですから古今東西、人類の歴史のなかで同じ言葉が言われ続けているのです。いわく、「たたけ、さらば開かれん。求めよ、さらば与えられん。意志あるところ、必ず道有り。精神一途、何事かならざらん。人の一念、岩をも通す。」つまり念ずれば花開くということですが、どんな花が開くのかは自分次第ということでしょう。
堀井 良殷(大阪21世紀協会理事長)